
4月17・24日の2日間、京橋のQUINTBRIDGEで行われたインクルーシブデザインアイデアソン in 関西 に、ペタビットのクリエイティブ部メンバー2名が参加いたしました。
インクルーシブデザインとは
インクルーシブデザインとは、高齢者、障がい者、外国人など、従来デザインプロセスから除外されてきた多様な人々(リードユーザー)を積極的にプロセスの上流から巻き込んで、一緒にデザインを考えていく手法のこと。
inclusive(含める、包括的)という言葉のとおり、限られた層に向けたデザインということではなく、特定の人々の抱える課題をもとに、誰もが恩恵を受けられるような新しい価値を創造していくための方法論です。
“誰かのためのデザイン”ではなく、“誰もが排除されることのないデザイン” を目指すことこそが、インクルーシブデザインの考え方。
施設・プロダクト・Webなど、さまざまな分野においてとても有効なデザインプロセスなのです。
今回のテーマは…?

今回のアイデアソンのテーマは、“音、感じる「コミュニケーション」を考える”こと!
コミュニケーションにまつわるリードユーザーの課題を発見し、各チームでアイデアを考案。2日目にプレゼンテーションを行います。
テーマについてのお話の中で印象的だったのが “HAPPY”というワード。
課題を解決するだけではなく、より良い価値(HAPPY)を提供するためのデザインであることを忘れてはいけません。
1日目:フィールドリサーチ


まずは各チームでフィールドリサーチ!
リードユーザーと一緒に行動し、日常生活の中から気になるポイントを見つけていきます。
今回のリサーチは会場近くの京橋商店街。昔ながらの大きな商店街でお店も多く、たくさんの通行人で賑わっています。
各チームに加わってくださるリードユーザーの方は四肢障害や聴覚障害など、さまざまな特性をもっています。
特段変わったことのない街歩きでも、一緒に行動していると、自転車にヒヤっとしたり、
BGMの音が気になったり、店員さんとのやりとりだったり…気になる場面に次々遭遇します。
こんな機会がないと理解できなかったようなことや、逆に自分にもあてはまるような気づきが多々ありました。

リサーチのあとは各チームでブレストタイムです。
よかったこと・残念なことを発表し、そのためにどうすればいいか、アイデアを出し合っていきます。チームのメンバーはプロダクトやwebなど色々な分野のクリエイターや学生さんなどバラエティに富んだスキルの持ち主。出てくるアイデアもそれぞれ視点が違ってとても刺激的でした。
2日目:プレゼンテーション

2日目のプレゼンテーションは一週間後。
それまでにチーム各自、リードユーザーさんとも対話を重ねながら役割分担しつつアイデアを練り上げていきました。
いよいよ当日、各チームごとにプレゼンを行います。



アイデアのアプローチ方法もさまざまで、プロダクトや空間デザイン自体を考案するチームもあれば、ビジネスシーンで使えるゲームを生みだしたチームもあり、メンバーや着目した課題によってこんなにもアウトプットが違ってくることがとても新鮮でした。
チームそれぞれの発表方法も、実演を交えたり、3Dモデルを作成したりと、伝えるための創意工夫に満ちていました。そしてそれもインクルーシブデザインの観点をもてたからこそ意識できたことだったのではないかと思います。
まとめ

今回のアイデアソンを通じて、「課題解決の先にある価値を提供すること」について改めて深く考えるようになりました。
不便ではないこと=優れたUXとは限りません。機能面だけでなく心理面の体験の重要さを痛感しました。
“大多数”のためのデザインの影で取りこぼされてきたたくさんの可能性の中に、新しいアイデアがまだまだ潜んでいるのではないでしょうか。
webをはじめとしたデジタルツールは、ユーザーとの接点も多い分、誰も取り残さないためのデザインとしてできることがまだまだあるのだと思います。これからの進歩が楽しみになる非常に貴重な経験でした。